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小説 STAY(STAY DOLD)

【小話】景之亮の結婚 3

翌日、景之亮は夜明けとともに起き、宮廷に上がった。いつも通りに仕事をしたが、仕事が終わっても仕事場に居座っていた。「鷹取殿、何か?」 手に持った巻物をただただ見つめている景之亮に同僚は不思議に思って声を掛けた。「いや!これを納めて帰るところ...
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【小話】景之亮の結婚 2

木の枝から葉が離れて落ちる。足元に落ちた葉が重なり合って溜まっている。 落ち葉を踏むとサッサッと音がする。 叔父にしては無言が続くため、その音がよく聞こえた。 景之亮は仕事を終えて宮廷から下がったところだ。いつもと違うのは叔父と共に歩いてい...
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【小話】景之亮の結婚 1

「いつまで部屋に閉じこもっているつもりだ」 部屋の中でぼんやりとして寝転んでいると、叔父の宇筑が庭に回って来て外から声を掛けた。 面倒な人ではあるが父の亡き後、自分を支えてくれた叔父である。景之亮は大きな体を起こして、簀子縁まで出て行った。...
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第四章15

前にも一度見かけたその男の人は、もしかしたら……と思っている人ではないか。 以前見かけた時は、途中で蓮が邸の中に入ってしまったため、間近ですれ違うことはなかった。しかし、今、蓮たちは食堂に向かって歩いていて、食堂の扉に着く前に去たち一行とぶ...
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第四章14

冬の終わり、人によっては春の始まりの時期。朝夕は気温が下がってまだ肌寒いが、日中は暖かくなった。 蓮は、着込んでいた上着を朝餉を食べ終わった後に脱いで、今日の仕事である薬草の整理をしに倉へと向かった。 今日は井と同じ組になって、一緒に倉の中...
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第四章13

「桂様、ようこそ」 淡路が頭を垂れて挨拶をした。 それを合図に稽古場にいた二十名ほどの楽団員が一斉に頭を垂れた。 実津瀬も一番端に並んで同じようにした。 淡路を先頭に、扉の前に三重に重なって立った楽団員たちが体を折った姿に桂は目を瞠り、そし...
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第四章12

朱鷺世は搗き米を前ほど欲しがりはしなくなった。これまで露の握り拳ほどの搗き米の塊が一つでは足りないと言うので、二つ用意していたのに、今は一つで十分だというし、腹は空いていないと言う時もある。その時は二人で搗き米を一口ずつ交互に食べた。 腹が...
物語あれこれ

【物語あれこれ】2024年もよろしくお願いします

あけましておめでとうございます。2023年まで私の小説を読んでくださった皆さま、ありがとうございます。2024年も同じように小説を上げていきます。実津瀬と蓮の二人の新たな愛と恋のお話を時にはハラハラドキドキし、時には涙を抑えて読んでいただき...
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第四章11

山には桜が咲いている。 束蕗原の去の屋敷の周りにも桜の木が点在しており、風に乗って花びらが舞って来る。 蓮は薬草園で摘み取りの作業をしている途中に、桜の花びらが頬に落ちて来て顔を上げた。 だいぶ暖かくなってきた。夜明けとともに起きて作業をす...
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第四章10

開かれたままの稽古場の扉に影が差して、人が一人ふらりと現れた。 しかし、今ではこの時間に現れる人物を誰か、と顔を上げて確認する者はいなかった。 岩城実津瀬が来た、と誰もがわかっている。 扉の近くで一人背中を丸めて座っている朱鷺世は稽古場に入...
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