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小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章28

陽は西に傾きかけた頃、芹は淳奈の部屋に行った。 実津瀬は相当疲れていたのだろう、眠っているのでそのままにして自分だけ起き上がった。 乳母の苗に相手をしてもらって遊んでいた淳奈が顔を上げて、芹を見ると立ち上がって駆け寄った。「母さま!」「淳奈...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章27

実津瀬が庭の階から宴の下座の席に着いた。 舞の観覧に来ていた貴族の家族たちがぞろぞろと観覧席から帰りの車に乗るために騒がしい中、宮殿の池に面した東側の部屋に移動して、池に映る月を眺めながら宴の続きが行われた。料理と酒、そして音楽。そして今日...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章26

翔丘殿の正殿前に五段の階がかかっている。その下に雅楽寮長官の麻奈見と先ほどまで舞台の上で舞を披露していた二人が並んで右膝を突いて控えている。 大王は階下で頭を垂れている二人を無言のまましばらく見つめてから話し始めた。「昨年の月の宴の舞は素晴...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章25

「今宵、満ちておらずとも月は美しい。その光で我々は暗い中でもお互いの顔を見ることができる。今、こうして皆の顔を見ることができて、朕は嬉しい」 舞台前の正殿の観覧の間におでましになった大王が、宴の始まりの言葉を述べられた。 宴の始まりはしばし...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章24

翔丘殿に着いた朱鷺世が支度部屋に入るとすぐに裏方の男から声がかかった。「朱鷺世、ここに座れ」 朱鷺世は黙って指示された場所に胡座をかいて座った。朱鷺世の正面に男は座ると箱から白粉を出して朱鷺世の顔に容赦無く塗りたくった。 舞台の化粧を自分で...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章23

母の礼と一番下の妹の珊が、芹は淳奈と、蓮はすぐ下の妹、榧と一緒に車に乗り込んだ。 宮廷での宴には、貴族の一族が入ることはできないが翔丘殿という大王の離宮では一族も月見と舞の観覧は許されている。だから、その日はいつも邸の中にいる妻や子供もこぞ...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章22

稽古場の後ろにある雅楽寮の倉では朝早くから男たちが出入りしていた。荷物を入れた箱を担いだ男はそのまま翔丘殿に向かって出発した。 いつも通りの時間に目覚めた朱鷺世は、仲間が忙しくしているその様子を突っ立て見つめていた。 今夜の催しの主役である...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章21

「蓮しゃま」 蓮が離れの部屋に入ると、父の腕に抱き抱えられていた淳奈は手を前に出して蓮の元に行こうとした。 実津瀬は淳奈を下に下ろすと、淳奈は庇の間の蓮をめがけて一目散に走った。前に手を広げてかけて来た淳奈を蓮は脇の下に手を入れて抱き上げた...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章20

「痛っ」 桂の小さな叫びに、周りにいた三人の侍女はびっくりして振り向いた。 椅子に座った桂が自分の指を真っ赤な唇に当てて吸っていた。「桂様、指を」 侍女の朱が近づいたが。「大丈夫だよ。少し手元が狂っただけ」 そう言って、唇から指を離し、再び...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章19

藍の気持ちが落ち着いた頃に侍女の朱が入ってきた。 蓮は持ってきた袋を朱に渡して、中の薬草を煎じるように言った。程なくして朱は手に薬湯を載せた盆を持って他の侍女たちを連れて戻ってきた。「藍様、どうぞ」 藍は両手で椀を持ち上げると、ゆっくりとそ...
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