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小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章21

「蓮しゃま」 蓮が離れの部屋に入ると、父の腕に抱き抱えられていた淳奈は手を前に出して蓮の元に行こうとした。 実津瀬は淳奈を下に下ろすと、淳奈は庇の間の蓮をめがけて一目散に走った。前に手を広げてかけて来た淳奈を蓮は脇の下に手を入れて抱き上げた...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章20

「痛っ」 桂の小さな叫びに、周りにいた三人の侍女はびっくりして振り向いた。 椅子に座った桂が自分の指を真っ赤な唇に当てて吸っていた。「桂様、指を」 侍女の朱が近づいたが。「大丈夫だよ。少し手元が狂っただけ」 そう言って、唇から指を離し、再び...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章19

藍の気持ちが落ち着いた頃に侍女の朱が入ってきた。 蓮は持ってきた袋を朱に渡して、中の薬草を煎じるように言った。程なくして朱は手に薬湯を載せた盆を持って他の侍女たちを連れて戻ってきた。「藍様、どうぞ」 藍は両手で椀を持ち上げると、ゆっくりとそ...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章18

実津瀬の苦悩は、朱鷺世の苦悩でもあった。 実津瀬にも朱鷺世にも麻奈見と淡路が付いて、一人舞の構想を一緒に考えた。そこで、朱鷺世は教えられるまま一人舞を舞っていたが、細部については。「朱鷺世が考えるんだ」 と麻奈見に突き放されてしまった。「二...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章17

夜明けに実津瀬は佐保藁の宮を出て、本家に向かった。 眠っている桂の隣で体を起こしたまま、一睡もせず夜を過ごした。逆に桂は一度も起きることがなかった。 自分が桂を部屋に運んでいる間に他の五人はどうしただろうか、と桂の部屋を出てから思った。 簀...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章16

「実津瀬……」 桂は自分の手から徳利を取り上げられて、振り返った。「桂様、今日はお招きいただきありがとうございました。楽しい時間だったので、私も曽野殿もそして、桂様も沢山お酒を飲んでしまったようです」 曽野亘は杯を下ろし、下を向いた。稲生が...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章15

実津瀬と稲生は本家の従者を一人連れて、徒歩で佐保藁の宮へ向かった。 門の前には番人が立っていて、松明の用意をしているところだった。実津瀬たちが名乗るとすぐに中に通された。 玄関前まで来ると佐保藁の宮の従者が出てきた。そこで、本家から付き添っ...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章14

季節は進み梅雨の時期。 連日雨が降り、たまに出る陽がありがたい。 今日は前日まで降り続いていた雨が上がって久しぶりの陽が差している。岩城五条の邸は御簾をあげて湿った部屋に陽を取り入れようしていていた。 離れの夫婦の部屋も御簾を上げて、庇の間...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章13

蓮と伊緒理の逢引きはひっそりと行われた。 ほぼ五日ごとに典薬寮に出仕している蓮に、鋳流巳と曜が交代で付き添いをした。そして、曜が付き添う日は、異国の人々が滞在する邸、江盧館(こうろかん)の部屋で伊緒理と会った。 出仕する日はどの日も、江盧館...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章12

「どうしたんだ?」いつものように朱鷺世が宮廷で働く女官たちの住居を訪れて、出てきた露と一緒に歩いて広大な庭の奥に向かう途中だった。「どうしたって?怪我をしちゃったの」 普段、感情を表に出さない朱鷺世が左手に白布を巻いた露を見て、大きな声を出...
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