スポンサーリンク
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章2

「あら、蓮も一緒だったの?」  離れの実津瀬の部屋に入っていくと、淳奈の肌着を縫っていた芹が顔を上げた。手を止めて立ち上がると人数分の円座を出した。 「どうしたのですか?二人とも難しい顔をして。そんなに難題を与えられたの」  円座に座った二...
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章1

新年を迎える前に蓮と母の礼が束蕗原から五条岩城邸に帰って来た。  戻る前日に実津瀬が束蕗原に迎えに行くために都を発った。一泊して、翌日母と蓮を連れて都に戻って来た。  約一年振りに会う姉に妹弟たちは門の前に出ては、まだかまだかと待っていた。...
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第六章19

翌日。伊緒理はこの邸のどこかにいるのだろうが、蓮は会うことはなかった。朝餉を食べて、薬草園に行き、手入れを手伝った。部屋に戻って、写本をして、気分転換に薬草箱の整理をした。夕暮れ時、曜と一緒に庭に下りて、秋の草花を見てまわった。庭を突っ切っ...
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第六章18

「蓮さん!」  朝餉を食べた後、侍女の曜に付き添われて蓮は薬草園に行って手入れをしていたら、同じように手入れの仕事をしに来ていた井が声を掛けてきた。 「……井さん!」  井は蓮の前に来て手を取った。 「お仕事をしておられるのですね!」  そ...
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第六章17

もう、水の中に落ちる前と変わらない生活ができているのに、母である礼は今も心配して、蓮が目の前の食事に手をつけないでいると、手づから匙で粥をすくって蓮に食べさせようとする。 「お母さま、私は自分で食べられます」 「だって、椀を持たないから食欲...
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第六章16

ピーっという音がした。  人は鳥の鳴き声と思うかもしれが、露には区別できた。  男が来たのだ。  露は妻戸を静かに開けて顔を出した。侍女たちが寝る建物の前に並ぶ大きな杉並木の一番遠くの樹の陰から男が顔を覗かせた。  夕方のあたりが暗くなり始...
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第六章15

翌日、実津瀬は夜明けと共に邸を出て宮廷に向かった。  四日間溜まった自分の仕事を片付けようと意気込み、机について精を出していると、あとから出仕してきた同僚から、大変だったねと声を掛けられた。  実津瀬が休暇を取る理由を父の実言は自分の代わり...
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第六章14

これまでも夫婦仲がよいことは周りの誰もが認めるところだったが、月の宴での舞の対決が終わった後はそれまでにも増して実津瀬と芹の仲睦まじいさは目立った。それは実津瀬が舞の対決に勝利したのは芹の支えがあったからだと、改めて芹に感謝し、さらに愛情が...
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第六章13

季節は夏から秋へと変わった。あの洪水の日からふた月が経とうとしていた。  洪水は束蕗原の風景を一変させてしまった。山崩れが起こり、作っていた稲や畑は水に覆われ、引いた後には大量の土、砂、石が残された。村人の家、そして命を奪った。しかし、住人...
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第六章12

意識は戻ったものの、蓮にとってあの一夜の経験は壮絶なものだったようで、隣で寝起きしている礼は、夜中に蓮がうなされている声に飛び起きた。  近づいて、そっと額に手を置くと熱く、たくさんの汗をかいている。  庇の間には侍女の曜が寝ていて、すぐに...
スポンサーリンク
wildflowerをフォローする