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小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower19

礼の体は、妊娠したと自覚したら急につわりの症状がでた。吐き気で、何を食べても吐いてしまう。体もだるくて、眠い。実言が春日王子の宮から帰った翌日、礼は体を起こすことができなくなった。七日が立ち、礼は食事できず痩せていくので、縫も心配する。 「...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower18

岩城の邸に戻ると、母屋から離れに向かった。母屋と離れをつなぐ渡り廊下の離れ側で澪が待っていた。  時刻は巳刻(午前十時)になる頃である。 「どうかしたのか?」  一目見て、澪の顔色が悪いのがわかる。 「はい」  返事をするだけで具体的なこと...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower17

実言は礼が眠ったのを確かめて、添い寝していた体を起こして、縫を呼んだ。  隣の間に控えていた縫が現れた。  実言は寝所を囲んだ几帳の中から出て、縫に礼の体のことを話した。 「私、気がつきませんでした。申し訳ありません。ああ、なんとおめでたい...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower16

春日王子は礼の右側に倒れ、礼の胸と足の上には王子の腕と足を乗せたままになっている。  礼は王子の手足を載せたまま、王子の寝息を聞いていた。そこで初めて涙を流した。声を上げないように、唇を噛み締めた。露わになったままの乳房をそっと肌着の襟を掴...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower15

よりによって我が体内に子を宿したことを知ったその日に、このような話があるとは。  春日王子とは、前に詠妃のこの館に来たときに、ちょうど退出される場に行き合わせた方。また、月の宴のときに大王の部屋から出ていらして詠様のいる部屋へと向かわれるお...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower14

月の宴が終わって、しばらくは礼にとっては穏やかな日々が続いた。  九月に入ると台風が来て、都も風や雨によって建物の被害が出た。宮廷は至急の対応を迫られて、岩城家も宮廷へ出て忙しい日々を送った。  十一月になると、新嘗祭の準備で忙しくなる。今...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower13

翌日は、岩城の邸全体が昨夜の宴の後の疲れで、皆一様にゆっくりとした目覚めだった。実言と礼も日が長けるまで寝室にこもった。侍女たちも、二人の邪魔をしないように、部屋には近づかなかった。  礼が部屋の中から澪を呼んだのは、午刻の頃だった。澪が格...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower12

「礼」  耳元に口を寄せて、実言が囁いた。礼は我に返った。びくっと体を揺らして、実言の方を向いた。 「大丈夫かい」  礼は声を発することなく、小さく頷いた。朔との再会が、礼の心をかき乱して落ち着かせない。自分はどんな顔をしていただろうか。荒...

余裕と絶望

なぜかこの動画が気になります。 こんな高いところに登って、どんな気持ちなんだろう。 これからどうしようかな?って余裕…それとも、どうしたらいいか絶望している? 私は余裕に見えます。あんよがぷらぷらしているところがそんな感じ。 物事考えように...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower11

礼は深々とお辞儀をして、碧とそれに続く女性たちの退出を見送った。碧たち一行が部屋を出て行くと、礼をここまで案内してくれた侍女が帰りも案内してくれる。  王族や官位の高い貴族たちで占められていた翔丘殿の正殿は徐々に人の数が減っていっている。礼...
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