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小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower53

死後の世界は、どんなものだろう。先に逝ってしまった父や母に会えたりするのだろうか。もし、会えるなら、なぜ、お前がここにいるのだと、驚かせてしまうのだろうか。そうしたら、なんと、言い返したらいいものだろうか。  暗い中を歩いているような気がす...
物語あれこれ

【BGM】 52話を清書している時の曲

小説を書く時には、主題歌や挿入歌というようなものを勝手に決めて、聴きながら書いています。 今回の52話を清書しているときには、MIKA feat.Pharrell Williamsの「Celebrate」をリピートしていました。 皆さまも、...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower52

若田城を発って二日目。礼と耳丸は順調に帰り道を進んでいた。  往路での山犬に襲われたことが、礼にはもちろん耳丸にとっても恐怖の出来事であったので、夜は家を見つけては頼み込んでその中や軒先で休ませてもらった。山犬に出くわさないように注意をした...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower51

夜が明けた。寝たようで寝てないような気分で耳丸は体を起こした。既に礼も目を覚ましていて、二人で井戸へ行って、身支度をしたり、水筒に飲み水を入れたりした。すでに若田城も動きはじめており、何人かの役人や兵士の男たちとすれ違った。  部屋に戻った...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower50

若見は、自分の部屋の入り口が朝仕事に向かう時とは様子が違うことに気づいた。いつも自分がしている戸の立て方ではない。誰かが入り込んだのか?取るものなど何もないのだが。  ゆっくりと戸をずらすと、部屋の中に人影が見える。戸を動かす音で、部屋の中...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower49

この村に入ってから三十六日目。耳丸と医者の瀬矢はこの村を発つ。  発つ前に、最後に実言の左腿の傷を見る。傷口は肉がついてほぼ塞がっている。あとは安静にして少しずつ足を動かして慣らしていくしかなかった。瀬矢医師はこのあと実言の世話をする三佐古...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower48

十四日目。  礼と耳丸、三佐古は実言のいる横穴で、いつものように体を拭いてやり、肌着を着替えさせ、傷口の具合を見て、水や粥、果物の果汁を飲ませに来た。  礼が傷口を見て塗り薬を塗ると、体を疼く痛みがあるのか、目をつむって静かにしている実言は...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower47

夜明け前。  礼は一人起き出した。黙って小屋を出ようとしたが、耳丸が起きてしまった。そして、耳丸は用心棒のつもりで礼の水浴びに付き添った。女であると悟られないようにするのは大変だった。体の輪郭を出さないように着込んでいる礼にはこの夏の暑さは...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower46

未刻を過ぎた頃、横木が外されて扉が開いた。今まで耳丸と話をしてきた男を先頭にその後ろに数人の男が現れた。 「顔を洗わせてやる」  そう言うと、耳丸と礼を立たせて小屋から連れ出した。危害を加えられる気はしないが、どこに連れていかれるのかわから...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower45

三方に張った板は適当に建てつけてあるので、隙間だらけであるが、小屋の中は蒸し暑く、頭から顔に汗が滴り落ちてくる。時々、吹く風が壁のない面から吹き抜けていって、一時の清涼をくれた。二人は苦しい時間を無言でやり過ごした。  扉の横木が外される音...
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