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小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night14

実言は少し濡れた衣装のまま部屋に入ると、侍女たちが着替えを持って来た。奥から礼が出てきて、着替えを手伝った。 「礼、起きていたのか」 「ええ、少し書物をしていました」  着替えが終わって、奥の部屋に行くと、礼の言葉通り机の脇に灯台が点ってい...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night13

北の空は黒い雲が立ち込めていた。あちらは雨が降っているのであろうと、都人は皆、北の空を眺めて言い合った。そして、やがてあの雲はこちらに来ると思って、皆が家路を急いだ。  稲妻が光ったのを見て、宮廷の官吏たちは恐ろしがった。しばらくして耳をつ...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night12

荒益と取り決めた通り、礼は椎葉家の別邸を月に二回訪れて、荒益の母の健康状態を診ている。三回目の訪問の時、礼が荒益の母と寝ている部屋で話をしていると、廊下に小さな陰がさした。礼は見逃さず、そちらに顔を向けると、荒益と朔の息子の伊緒理が屏風の陰...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night11

一人残った礼は、朔の走って行った先をしばらく見つめていた。  それから、碧妃の頼みを聞きに行った侍女の淑が戻ってきてもいい頃だと思い、階を登った。すると、階の上に立つ人の足が見えた。袴だから、男である。礼は驚いて顔が上げた。すると、そこには...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night10

梅雨のある日、後宮の碧妃から礼に手紙が届いた。碧妃からの礼宛の手紙が直接礼に届くことはない。まずは実言に手渡された。実言が改めたあと、礼に渡されるといった具合だ。その手紙のことは、礼が寝所に入ってきたときに、先に入っていた実言が迎え入れて話...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night9

数日後、寝るために寝所に入った実言は遅れて入ってきた礼に手紙を差し出した。 「お手紙?」  礼は、その手紙を受け取って目を通した。差出人は椎葉荒益であった。実言に、礼を我が母に遣わしてくれることのお礼がしたためられていた。 「返事は送ったか...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night8

実言は以前ほどの忙しさはなくなったようで、外泊の回数はめっきり減った。  礼は、子供達と供に夫との時間を喜んで過ごした。礼には平穏な日々であった。  ある日、実言が苦笑いしながら部屋へと入ってきた。蓮の人形遊びに、実津瀬と礼が付き合って、着...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night7

春日王子はおもむろに卓子から立ち上がると、大王の前に進み出る。 「春日よ」  近寄ってくる弟に大王は微笑んで応えた。 「兄上。この良き日に、兄上にお目にかけたい人物がおります」 「ほう。それは誰かな?」  大王は機嫌よく、興味を引かれて目を...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night6

四月、花の宴は都の東の外れに位置する山の麓にある翔丘殿という離宮で盛大に行われた。  宮殿の周りには錦の幕を張りめぐらせ、旗を立てているので、宴の場所は遠くからでもわかった。  正殿の正面には舞台を設え、楽団や舞踊の演者達が行き交いしている...
物語あれこれ

第三部 書き始めました!

まるで「冷やし中華始めました」のような題名ですが、何の風物詩でもありません。 第三部 Waiting All Night をゆっくりペースですが、書き始めました。読んでくださるみなさまが、どんな話になるのだろうと、楽しみにしていただけたら嬉...
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