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小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night24

碧妃が実家に下がる前日とあって、本家は準備に忙しく、実言の邸からも人を何人か手伝いに行かせて、実言邸はいつもより静かである。そこへ礼が帰ってきて、子供たちは嬉しそうに近寄ってきた。  礼は子供たちを待たせて、着ていたものを全て着替えた。その...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night23

大王もその弱り切った様子に、もう宮廷に留めておくのもかわいそうだと思われて、やっと碧妃の願いを許してくださった。まだお腹の膨らみは目立つほどではないが、大王の前に座った碧妃は痩せて、一人で体を支えられないほどの衰弱ぶりだ。有馬王子も大王に呼...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night22

しかし、事は岩城家の思惑通りにはいかない。  碧は体調不良を理由に実家に下がらせていただきたいと大王に申し出た。同時期に岩城家からも、碧妃の体調がよくないため、実家にて静養させたいと申し出た。大王は急な申し出に、すぐに館を自ら訪ねられて直に...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night21

山の木々が朱や黄に染まり変わって、秋の深まりを感じさせた。国中が大地の実りを蓄える準備に忙しい。宮廷も今年の食糧のとれ高や地方から届く荷の勘定に忙しい。  そのような時に、後宮から礼に手紙が届いた。大王の第五妃である碧妃からである。いつもの...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night20

礼は約束を守って椎葉家の別邸に通って、荒益の母君の薬作りと息子の伊緒理の勉強を見ている。荒益の母君は、気分の良い日もあれば、前日から寝込んでいる日もあった。気分がすぐれない日は、母君との会話もそこそこに退出して、荒益の息子の伊緒理の部屋で、...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night19

刻は夕暮れ。簀子縁では篝火を吊るす用意が始められた。夕闇が急速に進み、客人も徐々に入れ替わっていく。岩城本家から来た女性や子供たちも楽しいひと時を過ごしたと満足そうに帰っていった。  夜の客人は、宮廷の大臣や有力貴族、豪族たちである。ぞくぞ...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night18

からっと晴れた空と同じで、今日は実言と礼にとっては晴れがましい日になった。以前から建設していた実言の邸が完成し、今日はそのお披露目の日なのだ。  季節は夏から秋へと変わる時に、木の香が芳しい新居に実言の父の園栄はもちろん、兄弟やその子供たち...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night17

男の後ろについて庇の間に入ると、別の侍女が現れて男の腰に下がった刀を受け取った。身軽になった男は部屋の奥に進んで、几帳の中に入って真ん中に座った。 「そなたもここへ座れ」  男の傍の円座を示されて、朔はおどおどと部屋の中に入ってそこに腰を下...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night16

朔は、哀羅王子が宮廷内の春日王子の館につながる渡殿を渡って、館から遠ざかるのを見届けてから、その渡殿を逆に、春日王子の館に向かった。館の入口には、春日王子に仕える侍女が待っていて、朔の侍女を促して別室へと連れて行った。朔は一人で、長い簀子縁...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night15

その日も、実言は左近衛府の将監として、宮廷の警備の任務についていた。詰所に同僚たちと詰めていると、陽明門から内に入ろうとする貴人を見つけた。すぐに、その人は哀羅王子だと分かった。供を一人も連れておらず、門の前に立っているのだ。  実言はその...
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