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小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night52

日良居は毎日夕餉の食材を買いに行くのに、隠している使命を意識して、曲がった背中も心なしかすっと立ってくる。  決してこちらが岩城実言に会いたがっていることを知られてはならない、と哀羅王子は言う。だから、毎日ふらふらと決まった道、時に気の向い...
私の生活

新しい生活様式の必需品

新型コロナが落ち着いて、新しい生活様式が定着してきました 非常事態宣言が解除され、日本の中での移動制限も自由になりましたが、まだまだ新型コロナの警戒は解いてはいけませんね。自分はいいけど、大切な人に移すのが一番いやです。 そこで、だいぶコロ...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night51

哀羅王子は、部屋の真ん中に寝転がっている。その体勢のまま高坏の上に盛られた果物に手を伸ばし、無造作に取ると口に運んだ。歯を立ててその果肉を口の中に入れると、甘い汁が広がった。子供の頃であれば、こんなものはいくらでも食べていたのに、今は貴重な...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night50

今年も月の宴は催される。  大王の健康への不安は完全に取り除かれたわけではないが、短い時間ではあるが大極殿にお出ましになって外国の使節にお会いになり、また朝議にも出席される。群臣一同はそのお姿に安堵した。そして、宮殿の奥で休まれることが多い...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night49

すっかりと身なりを整えた春日王子が、来客用に使っている部屋の手前の庇の間に入ると、中から大きな声が聞こえてきた。 「春日王子はまだか!どれほど待てというのか?本当に、こちらにいらっしゃるのだろうな!」  大人しい哀羅王子が声を荒げている。そ...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night48

怖いほどの静寂だ。自分の耳が聴こえなくなってしまったかと、思うほどに。 「……どうした?」  その声に、耳が聴こえなくなったわけではないことを確認した。  朔は自分が息を止めて身じろぎもせず、じっとしていたのだと知った。隣に横になっていた方...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night47

礼が侍女の澪に髪をといてもらっている様子を、娘の蓮は後ろから右に左に横歩きして見ている。髪を結いあげて、礼が唇に紅をのせて化粧を終わらせたところで、我慢しきれずに礼の傍にやってきた。 「お母さま、きれい」  と言って、礼の肩に頬を寄せて抱き...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night46

今も、春日王子の邸で、酒の相手をしながら春日王子の言うことに耳を傾けていてた。  再び体調を崩された大王は、今は持ち直し小康状態である。寝付かれることはなく、儀式も執り行い、春日王子が代役をすることもない。しかし、気分がすぐれないと大事を取...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night45

手元の杯の酒は一向に減らない。口まで持っていっても、唇を湿らせるだけで、口に含むところまではいかないのだ。  哀羅王子は、杯を握ったまま、父から受け継いだ邸を出て吉野に行き、また吉野から都に帰って来た十五年の長き日々を思い出していた。  十...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night44

宮廷の門を出ると、荒益は真っすぐに邸に帰っていった。二条の西にある邸までの道のりは、先ほど実言に訊かれた朔のことを考えるのによい距離だった。  宮廷で妻の朔は何をしていたのだろう。  平静を装って、姉である幹妃の用事を手伝ったのだろうと言っ...
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