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小説 あなた

New Romantics 第一部あなた 第ニ章3

春の花がたけなわの時に盛んに宴が開催される。一番大きなものは大王が主催する宴だが、貴族たちも小さいながら王族を招待するものから親族や友人を呼ぶ小さな宴を開催している。庭の景色を楽しむだけではなく、音楽や舞の余興をしたいというところがあって、...
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New Romantics 第一部あなた 第ニ章2

蓮は今日も夜明けとともに起きて薬草園の中にいた。 兄が連れて行ってくれた小高い丘から伊緒理を見送った翌日も、泣き腫らして目が開かなくても起きた。柱に足をぶつけてしまい、しばらくその場にうずくまることがあったが薬草園で作業をした。 吹っ切れた...
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New Romantics 第一部あなた 第ニ章1

実津瀬は一人、宮廷の庭の椿の樹々の陰に立っていた。 いつも雪の方が先に来ていて待たせる身だったが、今日は実津瀬が待つことになった。 実津瀬の心の中には、雪が地位のある男と親密そうに話している姿が脳裏に浮かび、そのことが波ように繰り返し押し寄...
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New Romantics 第一部あなた 第一章19

実津瀬は久しぶりに会った妹弟たちと楽しく過ごした後、早々に褥の上に横になった。 王宮での有馬王子との小さな会合の後に見た雪と男が話している様子が頭の中から離れない。蓮が伊緒理のことで落ち込んだり、束蕗原に行ったりした時はそれはそれで気になっ...
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New Romantics 第一部あなた 第一章18

翌日、蓮は母や妹弟たちと一緒に日の出とともに車に乗って都に帰って行った。 都に帰れば、父から強い叱責があると思った。大王に謁見するために大路を行進する行列を乱すような行為をしたのだから、何かしらの罰を受けている可能性がある。それを父から言わ...
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New Romantics 第一部あなた 第一章17

母が束蕗原の去様の邸で使っている部屋に行くと、母と妹弟たち皆が輪になって薬草の取り合いをしていた。これは、母がよくやる遊びであるが、ある薬草の特徴を言って、その薬草は何かを当てる遊びである。小さな宗清と珊が一生懸命に薬草に飛びついている姿が...
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New Romantics 第一部あなた 第一章16

蓮は夕餉を食べ終わるとすぐに褥に横になったが、目を瞑っても眠ることはできなかった。やっと眠っても、夜明けとともに目が覚めて、邸の一画にある薬草園に向かった。母の礼がいなくても束蕗原から来ている去の弟子たちが薬草園の管理をしているから蓮が何か...
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New Romantics 第一部あなた 第一章15

約束の日に雪は椿の樹の影に隠れて待っていた。「待たせたかな?」 実津瀬が椿の樹の影に周って雪を見つけて言った。 雪は顔を上げて、すぐに顔を綻ばせた。「いいえ」 雪は答えた。 前回、偶然この石畳の回廊で会って、お互いの気持ちを再び確かめあった...
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New Romantics 第一部あなた 第一章14

蓮は机に向かって、本の続きを写していた。 父と一緒に束蕗原から帰るのに唯一持って帰って来たものだ。例によって、母と……伊緒理がいつでも読めるようにと写している。 伊緒理……にこの本は必要かしら……。 いや、違う。本を写す私は必要かしら……こ...
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New Romantics 第一部あなた 第一章13

「実津瀬!」 今、この邸にいるはずのない人の声がして、実津瀬は寝転がっていた体を起こした。 二日続けて塾を休むのは良くないと、実津瀬は早朝に宮廷の見習いの仕事の後、塾に行った。 昨日、真面目な実津瀬が来なかったこと心配してか、多くの人から声...
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