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小説 あなた

New Romantics 第一部あなた 第三章22

それから芹は房にたしなめられたためか、奥の部屋に籠らず、日中は庇の間まで出てきて縫い物に勤しんでいる。  一生懸命に手を動かしているが、手が止まるとしばらくぼうっと外を眺めている。岩城実津瀬と出会う前も左手の残った親指と膝を使って縫い物をし...
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New Romantics 第一部あなた 第三章21

「か……」  景之亮様、とその名を呼ぼうとしたのだが、それよりも早く景之亮は蓮を抱き締めた。  いつものように主の実言と少しばかり話をして、蓮の部屋へと渡ってきた。そこに足音を聞きつけて庇の間に出迎えた蓮をその場で抱き上げたのだ。 「あっ…...
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New Romantics 第一部あなた 第三章20

二日前から妹が、気分転換に外出しようとしつこく誘ってきたのだ。踏集いの時期も終わって、外に出ることもなくなってしまった。紅葉を楽しみながら木の実を拾いに行こうと。父親の機嫌が悪く、部屋にいたら当たられてしまうので、妹とならいいかと出てきたの...
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New Romantics 第一部あなた 第三章19

塾が終わった後、本家の稲生と鷹野と一緒に帰ったが、本家の門の前で二人と別れるはずが鷹野は実津瀬から離れない。 「ん?どうしたの」 「実津瀬と話があるから、一緒に行く」  と鷹野が言う。  実津瀬は特に何も言わず、門の中に入る稲生に手を上げて...
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New Romantics 第一部あなた 第三章18

邸の蓮の部屋で二人きりといっても、どこに他人の目があるかわからない。だから、おそるおそるの気持ちもあるのだが、ここにはその心配はない。  景之亮が蓮に体を向けた。蓮が景之亮を見上げると、景之亮は右頬を蓮の左頬に寄せた。  最初の頃は、髭の伸...
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New Romantics 第一部あなた 第三章17

厩に行くと、鞍を載せた二頭の馬の準備がしてあった。  景之亮は蓮が馬に乗るのを手助けし、馬上で蓮の体が落ち着くと、自分はひらりと軽い身のこなしで馬上へと上がった。  さすがに警備の仕事で馬に乗り慣れているだけある。美しい乗り姿に蓮は見惚れて...
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New Romantics 第一部あなた 第三章16

珍しく実津瀬は机について書物を読んでいた。  新年を迎えたら、正式に宮廷に出仕すると言われている。今はより心して勉学に励む時だと、真面目に取り組んでいた。そこに、静かに簀子縁を歩いてくる音がする。  実津瀬は身が入らないせいか、すぐに気づい...
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New Romantics 第一部あなた 第三章15

「芹様!」  慌てて芹の一歩前を歩いていた従者は手を出した。突き出た石に足を取られて前のめりになった芹の体をすんでのところで受け止めた。 「ああ、ぼおっとしていたわ」 「歩きなれないので、仕方ありません」  そう言って、従者は芹がしっかりと...

【旅】京都 青もみじツアー

今回は京都の青もみじを中心に観光してきました。 はじめに コロナ禍の中で行動制限のないゴールデンウィークも終わり、5月病になりそうな日々、何か楽しみを得たいと考え、「そうだ!京都に行こう」ということで、今回「京都、青もみじツアー」を行ってき...
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New Romantics 第一部あなた 第三章14

佐田家の別邸は都の南にあり、邸の周りはのどかで、小さな森が点在し、作物を育てている畑があった。そのため、人通りも少なく、芹は畑を作る母親と子供の二人連れとすれ違っただけで、後は誰とも出会わなかった。  従者が門を入って訪いを告げると、すぐに...
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