小説 STAY(STAY DOLD)

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小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第ニ章9

蓮が鷹取の邸に来たときは寒い日が続き、雪が降る日もあった。皆が白い息を吐き、身を寄せ合って寒さを凌ぐ日々は、蓮を邸の一員にし、結束が深まった。  梅が咲き、実津瀬が梅見の宴で舞を舞った後、桃の蕾が膨らみ春の足音が聞こえる時期だった。突如、景...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第ニ章8

年が明けてから、蓮の悩みは深くなった。  待てども待てども嬉しい印は現れない。  子のできない自分が、このまま景之亮と一緒にいてもいいのだろうか。景之亮は待とうと言ったが、いつまで待つつもりだろうか。どれくらい時を費やしていいものだろうか。...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第ニ章7

しかし、蓮の思い通りに物事は進まない。  宇筑が丸に向かって、景之亮に他に女を作れと言え、と話していたのを聞いてから半年が経ったが、蓮の体に変化はない。  景之亮は変わることなく、蓮の傍にいて、愛してくれているが。  丸は景之亮に宇筑の提案...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第ニ章6

「蓮!」  景之亮は階の一番上に腰かけて、じっと庭を見つめている妻の後ろ姿に声を掛けた。  蓮はゆっくりと首だけで振り向いた。 「どうしたんだい……五条のお邸に寄ったんだよ。そうしたら、蓮はもう帰ったと言われて……体の具合でも悪いのか?」 ...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第ニ章5

「おお、これはどうしたことだ!随分と邸がきれいになったものだ」  庭から男の声がした。 朝、目が覚めて、部屋の中に陽の光が入ってくるような時間までも、景之亮と蓮は衾の中で陸み合っていたが、もう起きなくては丸たちも気まずかろうと、起きて身だし...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第ニ章4

景之亮と一緒に暮らし始めても、蓮は何日か置きには五条の邸に写した本を持って行き、薬草つくりを手伝い、妹弟の相手をした。そして、兄の実津瀬と妻の芹とたわいもない話をした。また、蓮と芹は実津瀬がいなくても二人きりで話をしたし、景之亮が宮廷を下が...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第ニ章3

外は明るい。朝はとうに来たようだ。  その少し前から意識は起きていたが、目を瞑ったまま昨夜のことを思い出していた。 そして、自分の体に回された腕の温かさを感じた。眠りに落ちた後も、景之亮はずっと自分の体を離さずにいてくれたのかと思うと嬉しく...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第ニ章2

実言を先頭に実津瀬、蓮、そして礼の順に並んで鷹取家の広間へと向かった。  庇の間に入ると、几帳の向こうに座る景之亮の頭が見えた。  前日に、宮廷から下がって来た景之亮が五条の邸を訪れた。  明日からはずっと一緒にいられるのだから、と長居はせ...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第ニ章1

それは何の前触れもなく行われたことだった。誰にも知らされず、予兆を感じさせることもなく本人の心の中だけでその計画は練られ、実行されたのだ。 「あら、蓮、何?」 見習いの者たちと薬草庫の整理をしてから戻って来た礼は、庇の間にちょこんと座ってい...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第一章8

上に……上に……上がらなければ……。沈んだままではだめ……。  芹は水の中の深い底から浮き上がろうともがいていた。  光の中に向かって上がるのよ。ここにずっといてはいけない。光に向かって上がればいいのよ……。 「……芹……芹!」  自分の名...
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