小説 あなた

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New Romantics 第一部あなた 第三章5

鷹野の後ろを実津瀬が歩いている。 前日、鷹野が邸に来て明日の踏集いに一緒に行ってくれと言われた。どうも、里に明日も会いたいというような内容の手紙を出して、里から行くと返事が来たらしい。「いいよ。私も行くよ。でも、わざわざここまで迎えに来なく...
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New Romantics 第一部あなた 第三章4

実津瀬は自分から広場に戻ると、皆は帰り支度を始めていた。 鷹野はあの意中の子、里の前に立って何やら話をしている。近寄って行っては邪魔になると、近くの木に背中を預けて周りの様子を見ていた。すると、林の中から広場に女人二人が並んで現れた。「姉さ...
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New Romantics 第一部あなた 第三章3

実津瀬はいつも通りの毎日を送っていた。朝、起きて宮廷の見習いの仕事に行き、終わると塾の講義を聴いた。そして、気が向けば宮廷楽団の稽古場に行って、練習の様子を見ていた。 何も変わらない日々。ただ、雪だけがいない。 雪と出会う前の生活に戻っただ...
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New Romantics 第一部あなた 第三章2

「実津瀬!」 実津瀬は部屋から庇の間に出てきた。階の下には鷹野が立っていた。「わかっているよ、行くよ!」 実津瀬は階を下りて沓を置いた。 鷹野は早く早くと実津瀬をせかす。 今日は、都の東北にある山の山中で行われる踏集いに行くことになっていた...
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New Romantics 第一部あなた 第三章1

「蓮!」 呼ばれて蓮は声の方へ顔を向けた。 父が庇の間に入って来たところだが、その後ろには隠れようもないほど体の大きな男の姿が見えた。 その男は律儀なもので、蓮に会うのが目的なのに必ず主人にまず会いに行く。主人の実言が不在であれば妻の礼に会...
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New Romantics 第一部あなた 第ニ章29

蓮は衣装の色合わせを母と妹の榧と一緒にやった。ああでもないこうでもない、と夏の暑い日に涼しげな気持ちになる組み合わせを考えた。景之亮と最初に会う時は、装飾品もたくさん付けて、髪も凝って結ったが、もう知らない仲ではないので、こてこてとした装飾...
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New Romantics 第一部あなた 第ニ章28

立ち上がった二人はしばらく丘の上から、眼下に広がる宮廷を見つめた。小さな点がせわしなく動いているのは、宮廷で働く官吏や女官たちだ。 働く宮廷の人たちの姿を俯瞰して見ていると、二人は心が落ち着いていくのを感じた。自分の大切な人の命が尽きても、...
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New Romantics 第一部あなた 第ニ章27

翌日の朝餉を持って来てくれたのは、予想を反していつも身の回りの世話してくれる古参の侍女だった。実津瀬はてっきり、今日も蓮が来るものと思っていた。 実津瀬は粥のおかわりをして、今日雪の指を埋めに行く体力をつけようとした。 雪の指は昨日よりも黒...
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New Romantics 第一部あなた 第ニ章26

眠りから覚めた実津瀬が最初に見たのは、母の顔だった。左目に眼帯をした顔が見えた。眼帯で顔の半分は見えないが、とても心配そうな顔をして覗き込んでいるのが分かった。「実津瀬……」 実津瀬は急いで起き上がったら、今まで痛みなど感じていなかった肩か...
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New Romantics 第一部あなた 第ニ章25

蓮は部屋に戻って机の前に座った。実津瀬が次に起きるまで写しかけの本の続きを書こうと思うけれど、なかなか筆を取る気が起きない。 じっとしていると、頭の中に出て来るのは怪我をした景之亮の姿である。それほど酷くはないと言っても、腕の傷は大事にしな...
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