小説 STAY(STAY DOLD)

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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第四章4

五条の離れの部屋にこの邸の家政を一手に預かる忠道が来た。「お帰りなさいませ、実津瀬様」 昼間、実津瀬が邸に帰って来たのを待っていたかのように現れたのだ。「うん。今帰って来たところ」「どこか寄り道でもされていたのですか?」 芹は奥の部屋で遊び...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第四章3

「あー、おいしかったですね」 井は言って、自分のお腹をさすった。 食堂は食事が終わった後、少しの間おしゃべりをしている者が多くてにぎわっていたが、それぞれの時間を過ごすために一人、二人と食堂を出て行く者がいた。 これからは各自の自由時間で、...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第四章2

その時。「牧さん、言ったのは私よ」 不意に横から声がした。井の面前に立つ直前に、牧はその声の方に顔を向けた。 牧の剣幕に慄いた者たちが左右に分かれて重なった人垣の後ろから人をかき分けて、蓮が進み出た。「今日、私と一緒に薬草を倉の棚に収める係...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第四章1

蓮は摘んだ薬草を筵の上で干していたものを倉の中に納める作業をしていた。倉から外へ出た時に、ふっと香る梅の花の匂いが鼻腔をついた。「蓮さーん」 倉の前で立ち止まってその香しい匂いに浸っていると、遠くから自分の名を呼ばれて顔を上げた。呼んでいる...
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【小話】独りの実津瀬 〈第ニ部STAY(STAY GOLD)〉

妻と息子を別れて、供を連れて都に帰る。 別れ際は……。 母に抱かれて遠ざかる父を見る息子は、その距離が離れるにつれて表情を曇らせた。「淳奈、お父さまとはしばらくさよならね。たくさんねんねしたら、また会いに来てくださるわ」「とうしゃま……」 ...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第三章9

昨日は、束蕗原から都に帰ってくる車の中でじっとしておくのに飽きた淳奈を、実津瀬は一緒に馬の上に乗せたり、実津瀬が馬を下りて、腕に抱いたり手を繋いで一緒に歩いたりと機嫌を取った。実津瀬が疲れてくると、護衛の天彦が背中に背負って歩き、背中で眠る...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第三章8

蓮は夜明けとともに起きた。 父の実言が束蕗原に来る前は、蓮は母と珊と同じ部屋で寝ていた。父が来てからは、芹と淳奈の部屋に几帳を立て珊と一緒に寝た。昨日、実津瀬が来たので、昨夜は母屋の一室に褥を設えて珊と一緒に寝たのだった。起きると侍女の曜が...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第三章7

去は最近の都の様子を聞きたがり、実言が新嘗祭の様子やその準備の時に大路で起こった喧嘩の話を聞かせた。逆に実言は去が生涯をかけて研究している薬の話を訊ねて、芹は薬草園の話をした。しかし、話はお互いの最近の生活のことに移って行った。去は、娘同然...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第三章6

翌日、陽が沈む前に実津瀬が供を二人連れて馬で束蕗原に到着した。 実津瀬は母や妻たちが束蕗原に来た時に同行していたため、どこに妻や息子の部屋があるか知っている。馬から下りるとすぐに離れの庭へと回った。 実津瀬が到着したことを知らせされると同時...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第三章5

翌日の日が暮れる前に、実言一行が束蕗原の去の邸に到着した。 実言と四人の護衛と二人の舎人が馬でやって来た。 実言の話では夜明けと共に発ったと言ったが、そうであればもっと早くに束蕗原に着いていいはずだが、こんなに遅くなったのは都から束蕗原に来...
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