小説 STAY(STAY DOLD)

スポンサーリンク
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第ニ章3

外は明るい。朝はとうに来たようだ。 その少し前から意識は起きていたが、目を瞑ったまま昨夜のことを思い出していた。そして、自分の体に回された腕の温かさを感じた。眠りに落ちた後も、景之亮はずっと自分の体を離さずにいてくれたのかと思うと嬉しくなっ...
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第ニ章2

実言を先頭に実津瀬、蓮、そして礼の順に並んで鷹取家の広間へと向かった。 庇の間に入ると、几帳の向こうに座る景之亮の頭が見えた。 前日に、宮廷から下がって来た景之亮が五条の邸を訪れた。 明日からはずっと一緒にいられるのだから、と長居はせず庭で...
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第ニ章1

それは何の前触れもなく行われたことだった。誰にも知らされず、予兆を感じさせることもなく本人の心の中だけでその計画は練られ、実行されたのだ。「あら、蓮、何?」見習いの者たちと薬草庫の整理をしてから戻って来た礼は、庇の間にちょこんと座っている娘...
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第一章8

上に……上に……上がらなければ……。沈んだままではだめ……。 芹は水の中の深い底から浮き上がろうともがいていた。 光の中に向かって上がるのよ。ここにずっといてはいけない。光に向かって上がればいいのよ……。「……芹……芹!」 自分の名を呼ぶ声...
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第一章7

芹は用意された褥の上に横たわり、枕に頭を着けると目を瞑った。驚きと恐怖で目を開けていられなかった。離れた義母の礼が戻って来て、芹の枕元に座った。別室に寝ている淳奈の様子を見て来たのだ。「淳奈は苗に抱かれて眠ったわ」 そう聞いて、芹は少し安心...
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第一章6

朝に宮廷に出仕して、それが終わると舞の練習をする。 それがここ最近の実津瀬の日常であった。 実津瀬が夏の宴に舞うことは恒例になった。 実津瀬が完成させた舞は五曲ある。相棒と呼ぶべき、宮廷の楽団に所属する楽人の淡路と音楽を奏でる楽団とでこの夏...
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第一章5

夜が更けると寒さが一段と強まった気がする。芹は自分たちの寝支度にとりかかり、編に温石を用意するように言いつけた。 遅くなるが必ず帰ると言った実津瀬は、この冷えた夜の中を帰って来るのだがその体も冷え切っているだろう。 部屋を暖め、着替えを用意...
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第一章4

厳かな雰囲気の中どんな舞が見られるのかしら、と芹は単純に楽しむ気持ちより、夫の舞を観る緊張が先に立っている。 笙の音が聞こえて来た。それに呼応するように笛の音が加わる。太鼓の音が間隔をあけて規則的に入る。いつの間にか琵琶の音が追加されていた...
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第一章3

今日は一族総出で実津瀬の舞を観に行くのだ。 礼と榧は車に乗って、蓮と芹は歩いて翔丘殿に向かった。多くの従者、侍女を従えているので、大きな集団になる。他の貴族たちも同じように車を使って来るので、行きしなにその集団が出会ってしまうと大変だ。どち...
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第一章2

新年の準備に邸全体が忙しくしている時、実津瀬は大王の離宮である翔丘殿で行われる宴で舞を披露することになった、と告げてきた。「帰ってきたら、父上が呼んでいるというので、伺ったら梅見の宴に舞を舞うように依頼があったとのことだった」 聞いている芹...
スポンサーリンク