小説 I really like you

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小説 I really like you

Infinity 第一部 I really like you12

麻奈見は礼に会いに来ると言ったが、それは形だけの言葉となっていた。 子供の頃から寒くなると麻奈見は咳が出て寝込む。そのため、少年の頃から冬には束蕗原に療養に来ていた。今では一人で来るようになったが。 今回、また礼に会いに行こうと思った時に、...
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Infinity 第一部 I really like you11

朝が来ても、礼は褥の上に仰向けに寝て、両手で顔を覆ったままだった。それは、一夜で礼の身体のいたるところに実言がつけていった印が疼いて、起き上がれないからだった。背中にも胸にも、ねっとりと礼を覆い尽くす実言の跡が、下着の上からこすっても、部屋...
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Infinity 第一部 I really like you10

実言の訪れは突然、礼に告げられた。実言の従者が先に実言の訪れを知らせに来たのを応対した縫は、束蕗原の侍女に後のことはお願いして、慌てて礼のところに駆け込んできた。 礼は薬を作る棟の中で薬草を干す作業を手伝っていたところだった。 実言の南方へ...
小説 I really like you

Infinity 第一部 I really like you9

兵士や装備を整えるのに三月の期間がかかる。実言はその準備に毎日を忙しく過ごしていた。その合間をぬって、礼に会いに行った。 相変わらず実言に冷たい態度をとり続ける礼だが、それでも実言は礼を愛しく思っていた。今はお互いの心は通じ合わなくても、い...
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Infinity 第一部 I really like you8

歴代の大王は、外へ外へと勢力を広げ、強大な国を築いてきた。それは数代にわたり受け継がれてきた際限のない夢であり野心だった。 先代の大王は特に北、南ともに兵を進めて征服し、各地の豪族を配下にして領土を広げてきた。まだ、北も南も、征服するべき土...
小説 I really like you

Infinity 第一部 I really like you7

秋のある日。陽はまだ高い時。 実言は礼の部屋を訪れた。簀子縁から庇の間に入ったところで実言は礼の侍女の縫を手招きした。傍に寄った縫に耳打ちすると、縫は耳を真っ赤にして頷いた。縫は部屋に入って、部屋の真ん中に座る礼に跪いて今度は礼に耳打ちした...
小説 I really like you

Infinity 第一部 I really like you6

真皿尾の邸に戻った礼は、熱を出して苦しんだ。もうだめかという時もあったが、辛うじてその命をつなぎとめた。そして、病状は落ち着き、徐々にではあるが快方に向かっていった。父や兄の呼びかけにも応えるようになり、礼は言葉少なではあるが意思表示をする...
小説 I really like you

Infinity 第一部 I really like you5

礼の兄、玖珠巻と侍女の縫は、離れの別室で一時待機となった。  玖珠巻は応対する実言に、礼が目を覚ましたら、真皿尾家に連れて帰ると言った。それを聞くと実言は慌てて説得し、怪我の状態が安定するまでは岩城の邸で面倒を見たいと言った。 「矢は私たち...
小説 I really like you

Infinity 第一部 I really like you4

新嘗祭を前に、全国から収穫された食物が都に運ばれてくる。特に、この年は海を渡って異国の使節団が来るので、いつも以上に大変な賑わいである。都では見たこともない色とりどりに美しく着飾った異国からの使節団が列をなして王宮に入って行く姿は壮観である...
小説 I really like you

Infinity 第一部 I really like you3

礼と朔は、姉妹のように育った。朔の母親と礼の母親は姉妹で、礼の母親が病弱で子供の世話ができず、姉である朔の母親を頼って、よく礼を預かってもらった。礼は朔と共に遊ぶ毎日だった。 朔は礼の一つ年上で、幼い頃から確固とした自分を持った子だった。礼...
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