小説 I really like you

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Infinity 第一部 I really like you22

「私は瀬矢様を介して、礼、お前を随分前から知っていた。しかし、瀬矢様が亡くなった後、私はお前のことを思い出すことはなくなった。その後、常盤家からの強力な申し出で、我が家も朔を許婚にすることを決めた。須和家の娘の話は相手を選ぶ上で当然考えてい...
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Infinity 第一部 I really like you21

貴族の子供はその家柄の生まれだけで、子供のころから宮廷に上がって、官僚の仕事の雑用をさせてもらう。それによって登用試験に推薦を受け、優遇されるのだ。 だいたい、早いものだと十二歳くらいから、宮廷に上がって雑用の仕事を始める。朝は辰刻(八時)...
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Infinity 第一部 I really like you20

実言は宴の終わりのためにもう一度広間へと行った。礼は離れで待機となり、しばらく部屋の中で休んでいると、実言が帰って来て、それと同時に用意ができたからと人が呼び来た。これから、岩城家の女性たちとの対面である。まずは岩城家当主の正妻の屋敷に案内...
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Infinity 第一部 I really like you19

支度ができたら、礼は牛車に乗って、岩城家へと向かった。 当代随一の権力者である岩城のその権勢を誇った邸の構えに圧倒されて、その門の中へと入っていった。礼は案内された一室で縫と二人で待っていると、岩城の侍女が先触れに現れた。「実言様の母上様で...
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Infinity 第一部 I really like you18

緑が青々と繁り、日は暖かくて、体は動きやすいのに、部屋の中で一日じっとしておくのはもったいない。ましてや寝ておくことなんてできない。礼は、皆がまだ部屋で寝ていろと、止めるのも聞かずに、最初は去と弟子たちの講義を端の方で聞いていたが、その内そ...
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Infinity 第一部 I really like you17

桜は散ってしまった。礼は名残の花びらが舞うのと共に青い葉を茂らせている木を、薬草を作る館の前の置いている床子(縁台のようなもの)に腰掛けて見ていた。「礼、無理しないで。何もしないのよ。」 薬草を入れたかごを手にして、館の前に出てきた去りが言...
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Infinity 第一部 I really like you16

礼はゆっくりと目を開けた。薄く開けた目の中に光を感じて、今が夜ではないことがわかった。ここ数日は、去や縫たちが近くで会話している声が聞こえて、自分は母や瀬矢兄様のところには行けなかったのだとわかった。 もし、私が死んでしまったら、実言は悲し...
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Infinity 第一部 I really like you15

三月に入っても、まだまだ寒い日が続いた。その日も束蕗原には霜が降りて、土を踏むとザクザクと音がした。早朝の寒さも陽が登ると次第に和らいだ。 礼は束蕗原の畑の脇に自生している蓬生を摘んでいた。他にも去の弟子たちが畑に出て作業をしていた。空は晴...
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Infinity 第一部 I really like you14

台風被害に見舞われた束蕗原は、女領主、去の指示の元、怪我人の回復、病気の水に浸かった土地に流行る病気の駆除などの対策を講じた。稲が実る時期と重なったために、住人たちは肩を落としたが、皆で励まし合って助かったものを刈り取り蓄えとした。去も貯め...
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Infinity 第一部 I really like you13

季節は秋。雨の多い日々が続いた。昨年のこと。束蕗原には、一本の川が流れており、雨が多いとその川が氾濫を起こし、田やその周りの家を飲み込んだ。何年かに一度はそのようなことが起こり、この時期になると束蕗原の住人は備えを怠らない。今年も束蕗原の領...
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