小説 あなた New Romantics 第一部あなた 第三章34 すっかり夜風が冷たくなった。晩秋の夜、芹は庇の間で蔀戸を上げた窓からの月明かりと灯台の小さな火を頼りに縫物をしていたが、頭の中では実津瀬のことを考えていた。 実津瀬との手紙のやり取りは、一日交替で途切れることなく送りあっていたのに、今日は... 2022.11.05 小説 あなた