小説 あなた New Romantics 第一部あなた 第三章20 二日前から妹が、気分転換に外出しようとしつこく誘ってきたのだ。踏集いの時期も終わって、外に出ることもなくなってしまった。紅葉を楽しみながら木の実を拾いに行こうと。父親の機嫌が悪く、部屋にいたら当たられてしまうので、妹とならいいかと出てきたの... 2022.07.30 小説 あなた
小説 あなた New Romantics 第一部あなた 第三章19 塾が終わった後、本家の稲生と鷹野と一緒に帰ったが、本家の門の前で二人と別れるはずが鷹野は実津瀬から離れない。 「ん?どうしたの」 「実津瀬と話があるから、一緒に行く」 と鷹野が言う。 実津瀬は特に何も言わず、門の中に入る稲生に手を上げて... 2022.07.23 小説 あなた
小説 あなた New Romantics 第一部あなた 第三章18 邸の蓮の部屋で二人きりといっても、どこに他人の目があるかわからない。だから、おそるおそるの気持ちもあるのだが、ここにはその心配はない。 景之亮が蓮に体を向けた。蓮が景之亮を見上げると、景之亮は右頬を蓮の左頬に寄せた。 最初の頃は、髭の伸... 2022.07.16 小説 あなた
小説 あなた New Romantics 第一部あなた 第三章17 厩に行くと、鞍を載せた二頭の馬の準備がしてあった。 景之亮は蓮が馬に乗るのを手助けし、馬上で蓮の体が落ち着くと、自分はひらりと軽い身のこなしで馬上へと上がった。 さすがに警備の仕事で馬に乗り慣れているだけある。美しい乗り姿に蓮は見惚れて... 2022.07.09 小説 あなた
小説 あなた New Romantics 第一部あなた 第三章16 珍しく実津瀬は机について書物を読んでいた。 新年を迎えたら、正式に宮廷に出仕すると言われている。今はより心して勉学に励む時だと、真面目に取り組んでいた。そこに、静かに簀子縁を歩いてくる音がする。 実津瀬は身が入らないせいか、すぐに気づい... 2022.07.02 小説 あなた