2022-07

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小説 あなた

New Romantics 第一部あなた 第三章20

二日前から妹が、気分転換に外出しようとしつこく誘ってきたのだ。踏集いの時期も終わって、外に出ることもなくなってしまった。紅葉を楽しみながら木の実を拾いに行こうと。父親の機嫌が悪く、部屋にいたら当たられてしまうので、妹とならいいかと出てきたの...
小説 あなた

New Romantics 第一部あなた 第三章19

塾が終わった後、本家の稲生と鷹野と一緒に帰ったが、本家の門の前で二人と別れるはずが鷹野は実津瀬から離れない。 「ん?どうしたの」 「実津瀬と話があるから、一緒に行く」  と鷹野が言う。  実津瀬は特に何も言わず、門の中に入る稲生に手を上げて...
小説 あなた

New Romantics 第一部あなた 第三章18

邸の蓮の部屋で二人きりといっても、どこに他人の目があるかわからない。だから、おそるおそるの気持ちもあるのだが、ここにはその心配はない。  景之亮が蓮に体を向けた。蓮が景之亮を見上げると、景之亮は右頬を蓮の左頬に寄せた。  最初の頃は、髭の伸...
小説 あなた

New Romantics 第一部あなた 第三章17

厩に行くと、鞍を載せた二頭の馬の準備がしてあった。  景之亮は蓮が馬に乗るのを手助けし、馬上で蓮の体が落ち着くと、自分はひらりと軽い身のこなしで馬上へと上がった。  さすがに警備の仕事で馬に乗り慣れているだけある。美しい乗り姿に蓮は見惚れて...
小説 あなた

New Romantics 第一部あなた 第三章16

珍しく実津瀬は机について書物を読んでいた。  新年を迎えたら、正式に宮廷に出仕すると言われている。今はより心して勉学に励む時だと、真面目に取り組んでいた。そこに、静かに簀子縁を歩いてくる音がする。  実津瀬は身が入らないせいか、すぐに気づい...
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