小説 あなた New Romantics 第一部あなた 第一章12 今日、父が束蕗原に行っていてよかった。 実津瀬は、心からそう思った。 邸に家族は誰もいない。自分の様子が変でもそれを何かといってくる者はいないのだ。 雪と別れる前に背を向けて袴をつけ直し、脱いだ袍に袖を通して帯を締めた。雪は、単衣を肩... 2021.05.16 小説 あなた