小説 Waiting All Night Infinity 第三部 Waiting All Night47 礼が侍女の澪に髪をといてもらっている様子を、娘の蓮は後ろから右に左に横歩きして見ている。髪を結いあげて、礼が唇に紅をのせて化粧を終わらせたところで、我慢しきれずに礼の傍にやってきた。 「お母さま、きれい」 と言って、礼の肩に頬を寄せて抱き... 2020.06.14 小説 Waiting All Night
小説 Waiting All Night Infinity 第三部 Waiting All Night46 今も、春日王子の邸で、酒の相手をしながら春日王子の言うことに耳を傾けていてた。 再び体調を崩された大王は、今は持ち直し小康状態である。寝付かれることはなく、儀式も執り行い、春日王子が代役をすることもない。しかし、気分がすぐれないと大事を取... 2020.06.12 小説 Waiting All Night
小説 Waiting All Night Infinity 第三部 Waiting All Night45 手元の杯の酒は一向に減らない。口まで持っていっても、唇を湿らせるだけで、口に含むところまではいかないのだ。 哀羅王子は、杯を握ったまま、父から受け継いだ邸を出て吉野に行き、また吉野から都に帰って来た十五年の長き日々を思い出していた。 十... 2020.06.07 小説 Waiting All Night
小説 Waiting All Night Infinity 第三部 Waiting All Night44 宮廷の門を出ると、荒益は真っすぐに邸に帰っていった。二条の西にある邸までの道のりは、先ほど実言に訊かれた朔のことを考えるのによい距離だった。 宮廷で妻の朔は何をしていたのだろう。 平静を装って、姉である幹妃の用事を手伝ったのだろうと言っ... 2020.06.06 小説 Waiting All Night
小説 Waiting All Night Infinity 第三部 Waiting All Night43 宮廷では、話が漏れ聞こえるのを防ごうと部屋をどれだけ隔てても、それは難しいことである。使用人たちの情報収集力は恐ろしいもので、どれだけ小声で話しても、誰かの耳が聞きとって、口から口へと伝えられていくのだった。 その日の朝の大王の突然の体調... 2020.06.03 小説 Waiting All Night