2019-12

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小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower34

礼と耳丸は馬に乗りひた走った。北へ北へと。そしてもう一晩の野宿をして、翌日の未刻(午後二時)頃、佐田江の庄の集落へと着いた。ここまで来るのに、できるだけ安全を考えて大きな道を通ってきて、大きな集落もあったが、近寄らないようにしてきたため、久...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower33

星夜の頼りない光の中、礼は耳丸の手を借りて馬に乗った。耳丸は礼から馬に乗れると聞いていたので、まずはお手並み拝見とその様子を見ていた。しかし、言うだけのことはあって、礼は難なく馬を操った。先を行く耳丸は、時々礼を振り返り見るが、礼は耳丸の後...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower32

それからの礼は、子供のそばに寄り添って静かに暮らした。ちょうど耳丸が都に行く機会と重なって岩城の家にいる忠道への遣いに出した。耳丸の姉家族のこととともに旅の準備を進めさせるためだった。  礼は一日でも早く北へと向かいたかった。そのために必要...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower31

今朝、双子の男児が熱を出して周りの者は慌てた。そばで仕えていた侍女の一人も熱を出したため、流行病かと警戒して、双子の女児を母屋の部屋に連れて行き、渡り廊下では女たちの離れと母屋を行ったり来たりする姿が見えた。  礼も行ったり来たりをしていて...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower30

去から実言の元へ行くことを許されないことがわかった日から三日経ち、礼は、毎日しょんぼりとした姿を見せていた。それでも礼は、子供と対峙しているときは明るい顔をしている。無邪気な子供の笑顔や愛らしい仕草、礼だけを慕って這い寄ってくるひたむきな姿...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower29

翌日、いつもの朝が来た。  去の邸は、夜明けとともに起き出して、畑に出る者、家事をする者とそれぞれ動き出した。耳丸も、厩で馬の世話をして、その後朝餉をとると、邸の男達とともに家の修繕をしていた。  いつもの朝と違ったことは、不意に礼の侍女で...
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